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TPP大筋合意から2ヶ月:見えてきた企業の反応

TPPが大筋合意してから、当方の仕事も忙しくなってきました。

以前よりに増して、いろいろな相談・お仕事を受けることから考えられることは、

大企業: 自己証明に対応するためのコンプライアンス体制の構築

中小企業: FTA(TPP)の関心はあるが、問題は対応ができないことからくる、原産地証明の業務アウトソーシング要望

とほぼ言えます。

今、日本政府が中小企業の輸出の促進策を打ち出していますが、「相談を受ける」環境を作るのではなく、経理業務を税理士などにアウトソーシングするように、原産地証明をアウトソーシングできる環境にしたほうが、はるかに多くの企業がFTAを活用するでしょうね。

現段階で、その業務を行っているのはうちくらいではないでしょうか。

本日、2つの取材を受けました

本日、TPPに関して2つの取材を受けました。

共同通信と週刊エコノミスト。

申し上げたいことをはっきりと言えました。

記者さんが勉強熱心な方でしたので良かったです。

メディアの人で自分の知りたいことだけを電話で聞こうとする人の多いこと。

 

昨日、FTA、TPPに関する企業内セミナーを行いました

昨日、とある企業からのお招きで、FTA、TPPに関する企業内セミナーを行いました。

他地域ともビデオ接続して、他の地域の方も聞くことができるようにされていました。

今の私のTPPに関するセミナー・メッセージは、「自己証明導入とコンプライアンス対応」。この内容でお話をしました。

日本の大企業といえども、自己証明でより鮮明となるコンプライアンスの課題はしっかりした対応が必要であることは、最近の当社への相談内容をみても明らかです。

米韓FTAが発効してからしばらくして、アメリカ側が検認をかけ、韓国企業が大慌てしたことを、日本の企業が同じ轍を踏まないようにしていることは、素晴らしいことだと思います。

日本企業の中のコンプライアンス意識は、正直まだまだです。いいかたちでお手伝いできるよう頑張ります。

TPPの大筋合意で、日本の大企業の意識が変わりつつある

最近、大企業の方から意見交換をしたいというお声を多くかけていただきます。

お話の中心は、TPPがもたらす自己証明の「大変さ」。

アメリカが対象国になるとFTA/EPAの対応が今までのような俗人的なことではいけないという、半分焦りもあるような気持になっているようです。

自己証明ですから、証明方法のチェックは自分自らしなくてはいけない、それも会社レベルで行わなければいけないがそういう仕組みにはなっていない。

それゆえに、組織体制をどうするかというご相談です。

ただ、企業の経営陣はそういった「心配」はまだないようで(問題があることを知らない)、実務を行っている人の気持ちがそうであるということです。

実際の原産地証明の監査サービスをお願いされることも多く、潮目が変わったなという感じがします。

この社内の気持ちが経営者に届くように支援していきたいと思います。

「TPP協定交渉の大筋合意に関する説明会」の資料は4種類

「TPP協定交渉の大筋合意に関する説明会」の資料は4種類です。

内閣官房の資料

  • これは、今までに出たものが主体です。

TPPにおける関税交渉の結果

  • 関税撤廃率の国別比較や工業品、酒、タバコ、塩の交渉結果

農林水産省管轄品の交渉結果

工業品の関税撤廃

今までに出ているものより、かなり詳しく出ています。特に国別にでています。

補足: 全てのHSの関税削減が、すでに公表されました。(経済産業省

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商社とTPPに関して意見交換

本日、TPPに関しての意見交換会を大手商社から申し込まれ、行って参りました。

商社はFTAに関しては積極的という印象があります。

TPPの情報をいち早く収集し、対応していく姿勢はメーカはもっと学んでいいと思います。

商社は商社で課題があります。

一人一人がビジネスを作り出す商社マンですから、画一的なルールなどを押しつけることの難しさがある一方で、オーストラリアから始まり、TPPでは大きく広がる自己証明は、先端の商社でも悩みのようです。

検認(相手国から証明が正しいかどうかの確認に来る)がある恐れがあります。

問題の無い体制をどう構築するか。大きな問題です。

証明書類の作成を当方に任せてくれたら安泰ですのにね。

FTA/EPAの原産地証明: VA(付加価値基準)を満たせばいいのか?

原産地証明で、VA(付加価値基準)で証明しようとした場合、初歩段階で気をつけてもらいたいことがあります。

VAの基準さえ満たしたら、原産性が証明できたことになる訳ではなく、その手前に、「日本で作った」というベーシックな仮定があります。

中国から1個10円で仕入れてきて、海外に100円で売ったらVA90%だからOKとはなりません。

日本で作ったという前提があるのです。そうでなければ、マージンをたくさんつければ[日本産」になってしまう。

マージンをつけるだけがダメなだけではなく、以下のような作業は対象外です。

  • 輸送または保管の間に産品を良好な状態に保存することを確保する作業
    • 乾燥、冷凍、塩水漬けなど
  • 改装及び仕分け
  • 組み立てられたものを分解する作業
  • 瓶、ケース及び箱に詰めること、他の単純な包装作業
  • 部品や構成品を一つの完成品にとりまとめるような作業
  • 寄せ集めてセットにするだけでは、原産資格対象になりません
    • アセンブリがあって初めて対象となります
    • 物品を単にセットする作業
  • 上記の作業の組み合わせ

おわかり頂けましたでしょうか。

 

FTA/EPA:原産地証明における困った姿勢

日本でのFTA/EPAの活用は、相手国のお客から「活用してくれ」と言われるのが理由のほとんどです。

日本側にはメリットがほとんど無いと(と日本側は)思っているので、できるだけ簡単に済ませたいと考えているケースが大変多く見られます。

ただ、関税が減免されるために必要な原産地証明は厳格なルールのもとに証明されなくてはいけません。

「はしょる」ということは許されないのですが、どうしても担当者は、「これでいいですね」と聞いてきます.当然その際には、「正しくありません。○○してください。」と伝えますが、それでも、「これでもいいですね。」と勝手な解釈に対して当方の「了解」を求めてきます。

私が了承しようが、日本商工会議所が了承しようが、最終的には相手国を納得させることだけですので、こういう追認を取ろうとすることは何の価値もありません。

問題が起こったら当の本人や企業が困るだけです。少しの時間がセーブできても、問題が起こったらそれは大変で、時間だけでなく信用も失います。

大変でしょうが、アドバイスをちゃんと守ることを進めてくださいね。

FTA/EPAの原産地証明業務のシステム化

本日、FTA/EPAの原産地証明業務のシステムサービスの会社とお話をしました。

当方との接点も多いので、今後、協業の道を探りたいと思います。

課題は値段。

こういったサービスに日本企業はお金を払いませんからね。

また、FTA/EPAの原産地証明は、行う方と受益者が違うので、なおさら投資を正当化しにくいです。

 

今後、GEFでのセミナーにも出てもらう予定です。

EPAの成果

とある企業のEPA活用の担当の方とお話をしました。

EPAの活用成果は年間で20億円程度。

かなりの金額です。しかし、その方は「成果はいいのだが、EPAの特性上、成果は先方の客、労務は当方。そのせいでなかなか社内でEPA専任組織ができない。」

やはり、活用から始めるのではなく、どう使うかの位置づけから始めないといけないですね。

経営陣の方がその意義と方法論をある程度理解し、営業の人たちはどうやってその成果を刈り取るか、生産・調達の人たちは効果を出すためのソーシング、協力会社へのアプローチ、EPAでの原産地証明手続を行う人たちは、ITの人たちと共に、効率的な手法とデータの持ち方を、そして広げれば、サプライチェーン上でのコストに組み込み、サプライチェーン最適化を図る。理想はその形です。

昨今、そうしたい企業の相談が増えてきました。

また、EPAの原産地証明手続自身は例えば弊社のような企業へアウトソーシングすることも増えています。

ただ、これらの取り組み企業はごく少数。

TPPなどがトリガーになるとは思っています。